日本に古くから伝わる風習はいくつかありますが、羽子板もその一つです。
これは赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月に、女の子であれば羽子板を、男の子であれば破魔弓を飾るという風習によります。
ではなぜ、それらをお正月に飾るのでしょうか、その意味はどんなものがあるのか紹介していきましょう。
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羽子板の意味
美しい少女が豪華な着物をきて微笑んでいる飾りがついている羽子板は、「はごいた」と読み、羽をついて厄を落とすという意味があります。
つまり、女の子のための「無病息災のお守り」です。
そしてお正月に飾る時には、羽の玉も一緒に飾るのですが、この黒くて硬い玉は「無患子(むくろじ)」と言います。
この意味は「子供が病気を患わない」であり、どちらも生まれた女の子の健やかな成長を祈願して飾るものなのです。
羽子板の由来
では、由来もみていきましょう。
元々この板は、古来の宮中行事の1つでした。
古くは7世紀頃から行われており、「毬杖(ぎっちょう)遊び」に由来しています。
毬杖は神事の1つであり、男の子で相当するのは蹴鞠です。
最初はヘラのような杖で毬を打ち合うホッケーのような遊びだったのですが、杖が変化して板状になり、毬が羽に変化したと言われています。
どうして道具が変化したかといえば、羽のついた分銅を蹴る舞や武術が中国大陸から伝わったためで、毬杖と組み合わされることで現在の羽根つき遊びのような形に変わっていったのです。
鎌倉時代には羽根つきで遊ぶことはかなり定着し、女の子の遊びの中では主流となってきました。
昔から続く厄払いなのですが、時代が経つにつれて美しい飾りをつけ、それを家庭で飾るという習慣が生まれてきます。
室町時代になると、遊ぶ用と飾る用のものにはっきりと分かれてきました。
そして戦国時代に入ると、時代の流れから装飾品は重視されるようになります。
江戸時代に入ると武家社会での歳暮などの贈答品で、女子がいる家庭へおくることが増え、それが庶民にも浸透した結果、お歳暮でもらった羽子板を正月に飾り、また遊ぶという習慣になっていったのです。
ちなみに江戸時代、歌舞伎役者を押絵で仕上げた飾り用のものが登場し、女性たちの間で大人気となりました。
羽子板はいつ誰が買う?
では、これはいつ誰が買うものなのでしょうか。
この問いには、自分の子供が使うために買うものではなく、贈られるものである、という回答になります。
誰が買うというきまりは地方が変わっても特にありませんが、多くは母方の祖父母が購入している地域が多いようです。
場所によっては父方の実家と母方の実家、両家でお金を折半し、親戚が買って贈ってくれるというところもあります。
これは ひな祭りのお雛様の購入と役割を分担しているところもありますので、ある程度自由にするのが良い のでしょう。
店頭に並ぶのは11月頃ですので、うちの娘にもこれが欲しい、と思われる親はまずは親戚や実家の両親に話しておいてください。
そして、羽子板は1人につき1つ用意するものとされています。
つまり三姉妹であれば三人共にそれぞれ用意てあげましょう。
お雛様と違い、羽子板はさほど場所を取りませんので検討してください。
羽子板を飾るタイミング
飾るタイミングとしては、基本的にはお正月となります。
しかし門松や正月飾りとはタイミングが違い、 12月の中旬以降から1月15日頃までが飾る期間 です。
場所も特に決まりはありませんので、目立つ場所に置いてください。
なお、現代では高級品となっている上に縁起物だということで、一年中飾っても問題ありません。
仕舞う時には晴れて乾燥した日を選び、防虫剤は少なめにして乾燥した場所で保管してください。
顔に墨を塗るのはどうして?
正月の古くからの遊びとしてある、羽根つき遊びをする時に、顔に墨を塗るのはどうしてでしょうか。
現代でいうところの罰ゲームであると考えている方がほとんどなのですが、元々の意味は違いました。
しかし、長く打ち続けたくても羽を落としてしまうことは当然あるでしょう。
この時に、お互いの健康への願いがとぎれてしまうことになるわけですが、そうなってしまっても鬼が嫌う黒い色を魔除けの意味で顔にぬることで、身を守れると考えられていたのです。
つまり、打ち合いを続けられなかった罰で墨を顔に塗るのではなく、羽を落としてしまった方が鬼にみつかってケガや病気になってしまわないように身を守るためにバリアを施している、というのが正解となります。
負けたから顔を汚してやる、という気持ちよりも、落としてしまっただけれど大丈夫、これで鬼からみつからないよ、と墨を塗ってあげた方が、お互いに良い気持ちで遊ぶことが出来るでしょう。
羽根つきをする際には、是非このことを覚えておいてください。
最終更新日 2025年6月13日 by panda